「量子コンピューターが本当にすごい」を読んでみた

本日の内容

竹内薫量子コンピュータが本当にすごい」

量子コンピューターが本当にすごい」を読んでみました。

量子コンピューターが本当にすごい (PHP新書)

量子コンピューターが本当にすごい (PHP新書)

とても面白い本でした。

歴史からわかりやすく解説

内容は、計算するとは何か?から始まって、コンピューターとは何か、量子とは何か、暗号について、などと展開して行きます。

計算や暗号を中心に据えているのは、量子コンピューターは現在の暗号を一瞬で解ける(かもしれない)、といううわさがあるからでしょう。

これらを、歴史をなぞるように紹介していきます。大変にわかりやすく、作者がその場にいたんじゃないかと思わせるぐらい、細かくて面白い話しぶりです。事情に精通していないとこういうことはできないんじゃないかな?

と思ったら、作者の竹内薫さんは、先日の「素数はなぜ人を惹きつけるのか」と同じ人でした。( 「素数はなぜ人を惹きつけるのか」を読んでみた - CrazyCrescent のブログ )。うーむ、力量があるんだあ。


量子とは何か?というところでは、シュレーディンガーの猫や二重スリットの実験などをわかりやすく紹介してあるし、暗号のところではシーザー暗号から公開鍵暗号までやってRSA暗号の仕組みを実際の数値を使って説明してあるし(表を見ながら追いかけるときちんと理解できます)、新書版の分量でこれだけやれるのは、大したもんだと思います。(生意気ですみません。)

量子コンピュータは何かに特化したコンピュータ

最後のほうはよくわからなかったのですが、現在の量子コンピューターは、チューリング万能ではなくて、何かに特化したコンピューターだそうです。

特定の問題に強いアナログコンピュータ(計算器)

何かに特化した場合は、汎用コンピュータよりアナログコンピュータ(計算器というか演算処理装置というか)の方が、強力になるとか。


例えば、スパゲティコンピューターというアイデアがあるそうです。たくさんの生徒の成績をソートする(並べ替える)のに、点数に応じた長さのスパゲティをそろえて筒に入れ、ゆっくりと筒を持ち上げていくと、素早くソートが完了します。
例えば、巡回セールスマン問題を解く場合、板に釘を打って透明なカバーを付けてから石鹸水に入れて持ち上げると、表面張力により、最短経路が瞬間的に出てきます。


これらは、コンピュートする(計算する)という意味では、コンピューターと言ってもいいでしょう。何かに特化した計算器、という位置づけになるかも。

量子コンピューターもアナログコンピューターの一種?

たぶん、量子コンピューターも、これに似てるんじゃないかな。量子はアナログというか、確率でしか存在しないらしいし。(位置と運動量は同時に決定できないとか、位置とエネルギーの積がプランク定数より小さくならない、だったかな?)


現在の量子コンピューターは、どっちかっていうと、コンピューターに組み込む部品というか、特定の演算処理だけ高速でやらせるデバイスみたいなものらしいです。

すでに実用化に入っている

なんと、量子コンピューターは、もう実用化に入っているとか。現在、Google量子コンピューターを運用しているそうです。画像認識をやらせるのが目的のようで、言われてみるとGoogleの画像検索はどんどん精度が上がってきてますもんね。

こないだの東京オリンピックのエンブレム問題も、量子コンピューターが一役買っていたのかも知れません。

おすすめの本です

コンピューターと暗号に興味がある人、どうやって量子をコンピューターに組み込んだのか知りたい人、コンピューターや暗号など歴史をざっと眺めたい人、面白い本が読みたい人、などにおすすめの本です。








おしまい。