「対偶」を使ったパラドクス3つ

本日の内容

  • 「対偶」を使ったパラドクスを3つ紹介
  • 逆の裏は対偶
  • 勉強しないケン太
  • ケン太の火星人学


  • 逆の裏は対偶・解答編
  • 勉強しないケン太・解答編
  • ケン太の火星人学・解答はありません編

「対偶」を使ったパラドクスを3つ紹介

先日の 「北斗の拳」の論理学 - CrazyCrescent のブログ で思い出しましたが、対偶を使ったパラドクスを3つご紹介します。


(ところで、対偶ですが、「命題A:P⇒Q」があるとき、「Q⇒P」を命題Aの逆と呼び、「¬P⇒¬Q」を命題Aの裏と呼びます。⇒は「ならば」、¬は「not」と読んでください。

で、「¬Q⇒¬P」、つまり命題Aの「逆」の「裏」を、命題Aの「対偶」と呼びます。命題Aの対偶は、命題Aと同値になる、つまり命題Aの真偽とおなじになることが知られています。)

逆の裏は対偶

ケン太のセーターの着方がおかしかったので、聞いてみました。

私「ケン太くん、そのセーター、前と後ろが逆じゃないか。その上、裏返しだよ」
ケン太「逆の裏は対偶だから、これでいいんだよ」

思わず思考停止になってしまった私を横目に、ケン太はさっさと着替えなおしてしまいました。


「CrazyCrescent は、ケン太にからかわれたんだよ」と思う方は、こちら をどうぞ。

勉強しないケン太

ケン太がママに怒られています。

ママ「ケン太、遊んでばっかりいないで、勉強しなさい。アンタは、怒られないと勉強しないんだから」
ケン太「『怒られないと勉強しない』の対偶は、『勉強すると怒られる』でしょ?じゃあ、ボクはどうやっても怒られるんじゃないか。だったら勉強なんか、しーないっと」
ママ「あら、変ね…。どうなってるんでしょう?」


それでもケン太は勉強した方がいいと思う方は、こちら をどうぞ。

ケン太の火星人学

ケン太が「火星人は足が8本である」が事実かどうか、調査を始めました。

  1. 「火星人は足が8本である」が事実かどうか調査しよう。
  2. 火星に行くのは大変だから、地球で調べよう。
  3. 「火星人は足が8本である」の対偶は「足が8本でないものは火星人ではない」である。だから、足が8本でないものを片っ端から調べればいい。
    1. イカは「足が8本でない」かつ「火星人ではない」。
    2. ヒトデは「足が8本でない」かつ「火星人ではない」。
    3. ライオンは…
    4. カブトムシは…
  4. とりあえず100万個調査したけど、全部当てはまる。これだけ調査すれば「足が8本でないものは火星人ではない」は事実であろう。
  5. よって「火星人は足が8本である」も事実であろう。


「火星人の足の数は火星人を直接調査しないとわからないはずだ」と思う方は、こちら をどうぞ。

逆の裏は対偶・解答編

確かに「逆の裏は対偶」ですが、ここでは意味が違います。

ケン太は「セーターの前と後ろの向きを反対に着る」ことを「逆」と言っていますが、論理学では「『命題A:P⇒Q』があるとき、『Q⇒P』を命題Aの逆と呼ぶ」ので、言ってることが違います。「裏」も同様です。


日常の言葉と違う使いかたをする場合は、しっかりと定義をすると同時に、定義に沿った使いかたをしないと混乱します。

だから、学者は定義や言葉の使いかたをやかましく言うんだと、私は思います。

勉強しないケン太・解答編

「怒られないと勉強しない」の対偶は、「ケン太が今勉強している。つまり、さっき怒られたんだな」の方がいいんではないかと、私は思います。

こういうことが起こらないように、より厳密に話を進めるために、論理学は記号を導入して、誰がどうやっても同じ結果が出る(算術と同じようになる)ようにしたんだと、私は思います。

ケン太の火星人学・解答はありません編

これは「ヘンペルのカラス」というパラドクスです。なぜこうなるのか、私もわかりません。しかも、「足が7本」でも「足が12本」でも、同じ結果が出るんですよね。ますます謎です。


やっぱり「足が8本でないものは火星人ではない」を調べるときの、「足が8本でないもの」が無限にあるので、100万個を調べた程度じゃ、なんの役にも立たないんでしょうかね?

(でも、標本調査は母数が極端に多くても、ある程度の標本を調査すれば結論らしきものは出せると思うんですが。例えば、海という極端に大きい母数の中から、海水をスプーン1杯程度すくえば、塩分濃度はだいたいわかるじゃないですか。)





おしまい。