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がんを切らずに治すこと

本日の内容

  • 膀胱がんを切らずに治す
  • 「切らずに治す」だけを強調するのは、いいこととは思えない
  • 放射線療法
  • 逆に選択肢を狭めてしまうのでは?
  • 標準的な治療法を軽視すべきではない


膀胱がんを切らずに治す

最近、有名人の「がんを切らずに治した」みたいな番組が多いような気がします。私の家族ががんで入院しているので、目につくようになっただけかも知れませんが。

元ボクサーの竹原慎二さんが膀胱がんを切らずに治したという話や、菅原文太さんが膀胱がんを切らずに治していた(けど別方向の症状で亡くなられた)など。


膀胱がんではありませんが、元巨人のピッチャー角盈男さんが前立腺がんを切らずに治したという話や、作詞家のなかにし礼さんが食道がんを切らずに治した話などもありますね。結局は「がんは切らずに治せる」ということを強調しているように思います。

「切らずに治す」だけを強調するのは、いいこととは思えない

あれ、いいんですかね?これから先、「膀胱がんは切らずに治せる」と思う人が増えたり、医者に「絶対に切らないで下さい」と頼む人が増えたりすると、逆に問題だと思うのですが。


今、私の家族が膀胱がんで入院しているのですが、私の理解では「膀胱がんの標準的な治療方法は、膀胱を全摘出してストーマと装具を付ける方法である」です。また「それが標準的な治療になっているのは、それだけの理由がある」「これ以外の治療法は、それなりのリスクがある」ということです。(理由とリスクについては、主治医の先生に聞いて下さい。納得行くまで聞いた方がいいです。)


その辺をちゃんと放送しないまま(説明しないまま)「最新の療法なら切らずに治せる」という印象だけが広まるのは、決していいこととは思えないです。

放射線療法

私が医者から受けた説明からは、

放射線療法と化学療法を組み合わせた方法は、膀胱を取らないで済むが、その部分は癒着する。なので、再発した場合に打つ手が限られる。
膀胱がんが再発の可能性が高いがんであることを考えると、あまりおすすめではない。
どちらかというと、どうしても膀胱を温存したい人のための療法という面が強い。

という理解をしています。陽子線療法も重粒子線療法も、基本的には、体の外側からがんの病巣のみを攻撃するということですので、癒着という点だけを見ると、あまり変わらないとも理解しています。

逆に選択肢を狭めてしまうのでは?

そういうことをきちんと伝えておかないと、逆に患者の選択肢を狭めてしまうことになりませんか?


ストーマと装具を付けるのは大変に嫌なことです。「膀胱を取らないですむ」「ストーマ人工膀胱)と装具を付けないですむ」というのは、大きな利点であり、極めて魅力的です。その利点に、いわば「目が眩んで」、膀胱全摘出・ストーマ装具装着という標準的な治療を軽視するとしたら、それは間違っていると、私は思います。


亡くなられた方に対して何か言うのは非礼ですが、申し訳ありません。http://gansupport.jp/article/series/series13/4024.html これを読むと、どうもこの映画俳優は、標準的な治療法に嫌悪感を抱くあまり、判断にやや偏ったところがないとは言えないような気がします。

私たちは、この俳優と同じがん研有明病院で、放射線療法の話をしてもらいました。また、人工膀胱については専門の方(WOCの方)から詳しいレクチャーを受けた上で、どのような治療を望むか決定できました。この対談では、その辺に食い違いがあるような気がしてなりません。


この場合は、最初から標準的な治療法を視野に入れていなかったので、その分選択肢が狭まっていたような気がしないでもないのです。
この方は後に、転移性肝臓がんで亡くなられましたが、がんの再発だったのか、もし再発だとしたら打つ手が限られていなかったか、ちょっと考えてしまいます。

標準的な療法を軽視すべきではない

がんと診断されることは、とてもショックなことです。その時に、正常な判断ができる保証はありません。


その時に、標準的な治療方法を軽視すべきではないと思います。先述の映画俳優のニュースを聞いて、本当にそう思いました。




おしまい。